ID : 8608
公開日 : 2008年 8月27日
タイトル
木屑チップ:燃料の発電所、東吾妻で民間会社が着工
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/area/gunma/news/20080826ddlk10040009000c.html
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元urltop:
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写真:
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木屑(きくず)チップを燃料とした発電所の建設がこのほど、東吾妻町で始まった。県内の豊富な森林資源と首都圏の建築廃材を背景にチップの安定供給が見込めると、民間の新会社が立地した。10年7月か
ら稼働し一般家庭約2万3000世帯分の送電を見込む。二酸化炭素(CO2)を排出しない新エネルギーの県内での本格的実践として注目される。【塩崎崇】
運営するのは「吾妻バイオパワー」(前橋市南町3、木寺靖社長)。建築廃材や剪定(せんてい)枝、間伐材を利用し県内や近県の業者が供給する木屑チップを燃やしてお湯を沸かし、蒸気でタービンを回す仕組み。木
屑チップを燃やせばCO2は発生するが、木材の成長過程で同量のCO2を吸収するという「カーボンニュートラル」の概念から、新たなCO2の発生はないとされている。
同社は06年に設立され、この発電所が初の具体的な取り組みだ。群馬に立地した理由について「整備すべき森林がたくさんあり伐採木の調達が見込める」ことや「建築廃材がたくさん出る東京・埼玉に近く輸送の便がい
い」ことを挙げている。
この事業に行政は関与していないが、県環境政策課は「CO2吸収源対策として森林整備を進めており木材の供給は十分。運び出しチップにする採算が取れるなら、県としても非常に好ましい」と歓迎する。
送電規模は、発電する1万3600キロワットから発電所自体の使用分を引いた1万550キロワット。年間335日24時間稼働する計画で、送電量は約8482万キロワット時にのぼり、一般家庭の電力使用量(月301・8キ
ロワット時)を基準にすると約2万3000世帯分の年間使用量に当たる。
同社はオリックスが95・56%、東京ガスが4・44%を出資。電気はすべて東京ガスが買い取り、別の売電会社などに売却する。オリックスは「目先の大きな利益は望めないが、新エネルギー市場の将来性への投資」と、
東京ガスは「電力事業の価値を高め、技術や知見を今後の事業展開に生かしたい」とそれぞれ参画の狙いを語っている。