ID : 8207
公開日 : 2008年 7月 8日
タイトル
環境リレーションズ研究所 森林再生をプレゼント
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/select/science/news/20080708ddm016040105000c.html
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元urltop:
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写真:
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<水と緑の地球環境>
「秋は新潟県佐渡島で木を植え、トキの復活を支えたい」。NPO(特定非営利活動法人)「環境リレーションズ研究所」の鈴木敦子理事長(38)は、4年目に入った独創的な植林事業「プレゼント・ツリー」の進化を目指す
。
この事業は、市民が植林を代行してもらう代金を払い込むと、指定した贈り先に同研究所から「植林証明書」が送られるサービスだ。05年1月から今年3月末まで、インドネシア・カリマンタン島や北海道幌加内(ほろか
ない)町など国内外4カ所で計1万6134本を植え、延べ2万858人が植林の証明書をプレゼントする形で事業に参加した。
木の本数や参加者を詳細に把握できるのは、樹木を1本ずつ、識別番号で管理しているからだ。植林後はそれぞれの木を10年以上、維持管理していく方針で、枯れてしまったら同じころに植えた元気な木と交換する。
こうして「自分の樹木」に愛着を感じてもらい、長期間にわたる森林再生活動を共に支える仕組みを作り上げた。
「関係者にそこまで厳密にやるのかといわれ、大変だった」。鈴木さんは事業を始めたころの苦労を振り返る。しかし市民の大切なお金を使い、行政や企業と協力して事業をするには、妥協するわけにはいかなかった
という。地道な努力は評判を呼び、今では「自分たちの地域にも木を植えてほしい」と声がかかるまでになった。
活動を続ける中で、日本人の環境意識、感度の高さをしばしば感じている。一方、その感度を環境保護に役立つ行動に結びつけるにはどうしたらいいのか、考え続ける日々だ。団体名の「リレーションズ」(関係、つな
がり)には、そんな「感度」と「行動」をつなぐ思いも込めた。「プレゼント・ツリー」事業はその一つの結果だ。
鈴木さんは、環境NPOが直面する「誤解」を解かなければ、と思う。それは「収益事業をやってはいけない」と勘違いされていることだ。むしろNPOだからこそ、事業を手間ひまかけて実施し、信用を得ないといけない
。労働力も、コストもかかる。対価を受け取ることは、当然の権利だ。だから「持続可能な環境活動は、ビジネスとして成り立つ側面も大切だ」と思う。