ID : 7687
公開日 : 2008年 5月21日
タイトル
いまこそ森を健康に 高知・土佐龍に学ぶこと
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新聞名
毎日新聞
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元URL.
http://mainichi.jp/life/ecology/mottshiritai/news/20080521org00m040008000c.html
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元urltop:
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写真:
写真が掲載されていました
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5月も終盤、スギ花粉も落ち着いてきた。毎年花粉症が相当つらい。春がまったく楽しめない。「ああ、お花がきれい、春だわ?」とうっとりするのも束の間、次の瞬間くしゃみ連発にみまわれる。こんなにたくさ
んのスギを植えるなあ、と腹立たしくもなる。
「でもね、スギが悪いわけじゃないんですよ。適材適所の植林をしないからですよ」と話すのは高知県にある株式会社「土佐龍」社長の池昇龍さん。
「土地の気候によって生えてる木は違うでしょ。その土地にあってるものを植えないといけない。それなのに戦後たくさんのスギを日本中に植えてしまった。スギも慣れない土地で子孫を残そうと必死なんです。それ
で花粉をたくさん飛ばすんですよ」
いま、日本の森林には手入れされず放置されている木がたくさんある。先日、東京の奥多摩に行ったのだが、いたるところにスギをはじめとした木々でうっそうとしている。こんなに木が多いのにと思うが地元の人に聞く
と、たくさんあっても手入れされてないからひょろひょろで力のない木ばかりなんだとか。20~30年経過した老木は思ったよりもCO2を吸収しない、むしろ排出してしまうともいわれている。CO2吸収に効果があるのは若
くて元気な木なのだ。
「ぼくはね、森林を健康にしたい。そのために地元のヒノキを手入れし間伐材などを利用して製品をつくっているんです」と池さんは言う。
土佐龍の商品はヒノキの特性を生かしたものばかり。ヒノキにはアルファピネン、ボルネオールという成分が含まれていてカビや雑菌を防ぐ働きをする。こうした特徴を活かし、まな板やテーブルウェアと呼ばれるプレ
ートがつくられた。白磁の食器とヒノキの組み合わせがおしゃれなプレートはふだんの食事をかなりゴージャスに演出もしてくれる。
お風呂周りの小物も充実している。見ているだけでもステキなキャンドルバーや石けんおきのソープレストが並ぶ。お風呂はただ汚れを落とすところだけでなくリラックスの場にもなってほしい、との考えからこれらの商
品が生まれた。浴室にヒノキのいいにおいがたちこめる。抗菌パワーも発揮され一石二鳥だ。
土佐龍では間伐材はもちろん、製品を作るときにでる端材や木片など副産物も利用している。その中のひとつがアロマグッズだ。リラックス効果があるとされるフィトンチッドをたくさん含むヒノキの粒を入れた枕。木の
粒のほどよい固さと香りで快適な眠りを誘うのと、ヒノキの防虫効果でダニなどをよせつけないのもうれしい。
他にも、本当だったら捨てられてしまうヒノキの節の部分を使ったアロマブロックの入浴剤も人気がある。節は油脂分が多いため、これでかかとをなでるガサガサがつるつるになるのだそう。
昨年5月、2005年度分の森林整備によるCO2吸収量が目標値に届いていなかったとの発表が政府からあった。これまでよりさらに森林を活性化し健全な木を育てていく必要がある。
池さんの言葉が心にひびいた。
「自分たちのためでもありますからね。森を大事にするということは」。