ID : 661
公開日 : 2006年 3月30日
タイトル
環境取り組みで住民融和進む 若狭町誕生1年 木材分収契約導入し森林再生
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新聞名
日刊県民福井
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元URL.
http://www.kenmin-fukui.co.jp/00/fki/20060330/lcl_____fki_____009.shtml
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写真:
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木材分収契約導入し森林再生
郡域を越えた2町による合併で若狭町が昨年3月31日に誕生して1年。ラムサール条約に登録された三方五湖のうち同町は半分以上を抱える。五湖の水質改善が近年の課題となっているだけに、「環境」をキーワー
ドにしたまちづくりを通じて旧三方、上中両町住民の融和を進めている。
三方五湖浄化につなげる
◇山林エリア拡大
旧上中町との合併で山林エリアが拡大した。国道27号沿いの山には立ち枯れた木が目に付くが、町は放置されて荒れた山を再生し、流れ出る水をきれいにし、ひいては湖の浄化につなげる狙いを打ち出した。
森林再生の第一歩が新年度から始まる木材の分収契約だ。私有林の管理を町が受託して間伐などを行い、売れた木材の収入を所有者と分け合う。
町から作業を請け負うのは二州、若狭両森林組合だが、ある組合員は「どれくらいの人が契約を結んでくれるか」と不安まじり。森は勝手に育つと考える所有者もいるとみられるためだ。
「木材の値段は安く、手入れにお金はできるだけかけたくないと思っている所有者は多い。どうやって進めていけばいいか、こちらも手探り。今回の制度がきちんと理解されるには、ある程度時間をかけて訴えていかな
ければ」と話した。
◇長い目で
「目に見えるところから手をつけていけば、いつかは結果が出る」と千田千代和町長も長い目で考えている。「低年齢のうちに環境への意識づけを行いたい」と、新年度には町内各小学校で植林用苗木を育成したり、学
校に町有林を貸したりすることを計画しているという。
三月町議会で可決された環境宣言では「水と大地の、『共生』と『循環』の理(ことわり)」の重要性をうたう。水の循環サイクルは「山」と「湖」それぞれの関係者にとって共通の問題だが、拘束力を持たない宣言の理念を
町民全体でどうやって共有し、実践するか。まちづくりの課題だ。
◇木材の分収契約◇ 若狭町は所有者と分収契約を結び、木材育成の初期投資を負担する。契約期間は80年にわたるうえ木材の需要は不透明で、育成にかかった費用が回収できる見通しはまだ立っていないが、町
は新年度から立ち枯れ被害状況などの調査や制度の啓発も本格的に始める。