ID : 7198
公開日 : 2008年 4月16日
タイトル
森林生態系 保護地域に
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新聞名
読売新聞
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元URL.
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/miyazaki/news/20080415-OYT8T00767.htm
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元urltop:
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写真:
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綾町などの国有林を中心とした国内最大級の照葉樹林帯「綾の森」(約1万ヘクタール)のうち、シイやカシなど原生林が多く残る国有林1167ヘクタールが3月25日に、国の保護林では最も規制が厳しい「森
林生態系保護地域」に指定された。九州・沖縄では世界自然遺産の屋久島(鹿児島県)などに続き5か所目。町や、森の保護に取り組むNPO法人は「指定を機に、世界自然遺産に」と期待を膨らませている。(麻生淳志)
林野庁は1915年から、国有林の貴重な動植物の生息地域を森林生態系保護地域、林木遺伝資源保存林、植物群落保護林など7種類の保護林に指定。保護林の伐採や開発行為を禁止して、原生的な天然林の保存や
野生動植物の保護に取り組んできた。九州森林管理局(熊本県)によると、九州に保護林は91か所あり、このうち最も厳しい規制対象となる森林生態系保護地域には屋久島、西表島(沖縄県)など4か所が指定されてい
た。
綾の森は、樹齢100年を超えるイチイガシやタブノキなどの照葉樹が群生し、ニホンカモシカやクマタカといった貴重な野生動物が生息することなどから指定された。
保護地域に指定された国有林は、「保存地区」(674ヘクタール)と「保全利用地区」(493ヘクタール)に分けられる。保存地区では、学術研究のための植物採取や災害復旧を除いて立ち入りが禁止され、手を加えるこ
とができなくなる。保全利用地区は保存地区周辺に設定。保存地区の動植物の生態系が、外部の影響を直接受けないようにする。
綾の森については、2003年に森を含む宮崎、大分、熊本県にまたがる照葉樹林帯が国の「世界自然遺産候補地に関する検討会」で最終7候補地に残った。翌04年には国や県、綾町、民間団体などが綾町や小林市な
どにまたがって広がる照葉樹林を保護、復元する「綾の照葉樹林プロジェクト」が発足。スギなどの人工林を間伐して林に日光を取り入れ、シイやカシ、タブからの自然な種の落下によって照葉樹を発生、生育させる取
り組みを行っている。
綾町企画財政課は「綾の森は、世界的に価値ある照葉樹林。保護地域に指定された周辺の人工林を間伐して照葉樹林を復元して世界自然遺産を目指したい」としている。
同プロジェクトに参加しているNPO法人「てるはの森の会」代表の上野登・宮崎大名誉教授(81)は「照葉樹林帯の人工林で分断された部分を復元させれば、世界自然遺産登録の可能性は高まる。今回の指定で多くの
人に綾の森を知ってもらい、登録の機運を高めたい」としている。