ID : 595
公開日 : 2006年 3月21日
タイトル
FSCの公開講座 改めて森林の役割学ぶ 地球環境維持に貢献
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新聞名
東海新報
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元URL.
http://www.tohkaishimpo.com/scripts/index_main.cgi?mode=kiji_zoom&cd=nws1323
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元urltop:
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写真:
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住田町森林・林業日本一の町づくり推進協(会長・多田欣一町長)主催のFSC森林認証公開講座は十八日午後、同町農林会館で開かれた。国内で初めて森林認証を取得した速水林業(三重県)の速水亨代表(
52)が登壇。森林は地球温暖化防止などの環境維持に貢献していることなどを説明した。
この講座は、環境に配慮した適正な森林管理や経営をしていることを証明する国際基準「FSC(森林認証)」について広く理解してもらい、一層の普及促進を図ろうと開催。同町、気仙地域林業構造改善事業等推進協、
気仙地域産業振興支援プロジェクト会議が共催した。
会場には林業関係者ら約百人が出席。多田町長が「町内でも森林認証について十分な理解が図られているとは言えない。きょうは講師の体験を聞きながら今後の参考にしてほしい」とあいさつした。
講師の速水氏は、昭和五十一年に慶応大学法学部を卒業後、家業の林業に従事。五十二年から五十四年まで、東京大学農学部の研究生として硫黄酸化物の森林生産に与える影響を研究。森林経営の機械化を進め、
国内の林業機械普及に努めている。
また、約千七十ヘクタールの森林を環境管理に基づいた経営を行い、平成十二年二月に国内で初めて世界的な環境管理林業の認証であるFSC森林認証を取得した。現在、日本林業経営者協会副会長、日本林業木材
製造業労働災害防止協会副会長などを務めている。
同日は「環境に根ざした森林管理」と題し講話。この中で、速水氏は世界中の数十年前の氷河と最近の写真をスクリーンに映し出し、氷が溶けている現状を説明。いかに地球温暖化が進んでいるかを示した。
その上で、森林は温暖化原因となる二酸化炭素を生長段階で吸収することを強調し、「森林の存在は地球環境を維持している」などと説明。世界中の木材消費量約三十三億一千万立方メートルのうち、十八億四千万立
方メートル(56%)が燃料として消費されていることを話した。
また、自社の山づくりについては▽地域住民に理解してもらえる経営▽環境的に豊かで美しい森林▽環境管理人工林育成技術の確立▽安全確保――に重点を置いていることを紹介。機械化を進め、二十年前に比べ三
分の一ほどの人員で作業を行っていることを説明した。
また、近年の林業を取り巻く環境について「森林作業は補助を前提にされているため、標準作業量にがんじがらめになって合理化の動きがない」と指摘。「国の財政状況を考えれば、今後ますます補助金が少なくなって
いくことが予想され、作業の能率アップを図ることが大切」などとアドバイスした。
最後に、ドイツの林学者であるアルフレート・メーラーが語った「最も美しい森林は、また最も収穫多き森林である」との言葉で締めくくった。