「CO2森林吸収で目標達成」はウソ? 林野庁が回
答
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新聞名
日本経済新聞
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元URL.
http://eco.nikkei.co.jp/column/article.aspx?id=20080228c1000c1
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元urltop:
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写真:
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私のコラムでは、森林との関係や「木材利用はなぜ環境に良いか」を主なテーマとしているが、嬉しいことに読者から、回を重ねるに従って具体的な質問をいただくようになった。「木を伐採して使うことは森
林の減少につながるのではないか?」という誤った感覚がまだまだ根強い中で、正しい“知識”を求める声が活発であることは非常に有意義なことだ。
前回のコラムでは読者の質問に対する林野庁の見解を紹介したが、それを踏まえて更なる質問をいただいたので、改めて尋ねた林野庁の見解を以下で紹介したい。質問の内容および林野庁からの回答は踏まえてお
くべき本質を含んでいるので、皆さんもぜひご参考にしていただきたい。
(読者からの質問)
人の手が入らず荒廃が進む森林
◎ 「京都議定書目標達成計画の評価・見直しに関する最終報告」(中央環境審議会地球環境部会等、平成19年12月)には追加的な森林整備で120万ha/6年(=1.2万 km2 )を行うとの記載がある。これは日本の国土の
3.1%であり、どこを、いくらかけて、誰が実施するのか?
◎ 間伐の6年間で330万ha(=3.3万km2)実施について。一体どこを、どの程度の予算をかけて、誰が実施するのか
(林野庁の回答)
1)森林吸収量の確保に必要な追加的な森林整備量
・我が国の育成林(人工林)において、これまでの予算水準で第一約束期間終了年まで推移した場合、不足する森林吸収量を確保するためには、追加対策として育成林を対象に今後6年間で120万ha(年間20万ha)の整
備を実施する必要があります。
・このため、毎年度追加対策の20万haを加え、55万haの間伐を6年間実施することとして合計330万haの間伐を予定しているところです。
2)追加的な森林整備量に必要な予算
・追加対策分の予算手当として、平成19年度においては、18年度補正予算と合わせて、765億円(約23万haの整備に相当する国費)を確保し実施しているところです。
・また、平成20年度においては、19年度補正予算と合わせて、546億円(約21万haの整備に相当する国費)を予定しています。
・これらは林野庁の補助事業として、国のほか都道府県が事業費の一部を負担し、森林所有者等(主に、地域の森林組合が受託)が森林整備を実施することになります。
3)追加的な森林整備の実施に向けた対策
森林吸収源対策の着実な実施に向けては、必要な予算の確保に加え、個人負担、地方負担の軽減が重要な課題であるため、
・森林施業の集約化や生産コストの低減等から間伐の収益性を高めることにより、実質的に個人負担の軽減につながる施策の展開
・間伐経費の助成として、平成19年度予算から措置した定額での助成方式の継続・拡充
・地方公共団体の負担の軽減を図るため、追加的な間伐等を地方債の対象とすることなどを内容とする新たな法律(法案は今国会に提出したところ)
などの取組を通じて、個人負担、地方負担の軽減を図りながら、森林吸収源対策の着実な推進に努めることとしております。