ID : 6010
公開日 : 2008年 1月15日
タイトル
県温暖化対策 実効性を高めなければ
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新聞名
信濃毎日新聞
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元URL.
http://www.shinmai.co.jp/news/20080115/KT080112ETI090002000022.htm
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元urltop:
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写真:
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温室効果ガスを減らすことが、国際社会の緊急課題となっている。長野県内の削減目標と取り組みを示す「地球温暖化防止県民計画」の改定案が公表された。
置かれた状況は厳しい。京都議定書により、日本は2012年までに1990年比で6%削減が求められている。減るどころか、04年度、県内は90年に比べ14%増え、全国の7・6%増を上回っている。
県民計画の見直しも当然の流れといえる。業務、家庭などの部門ごとに二酸化炭素の増加要因を分析し、削減目標と対策を掲げた。
特に商業、サービス業、オフィスなど業務部門のガス排出量増加が著しい。建物が増えたことと、事務機器などの導入が進んだことが原因だ。取り組み強化のため、業種ごとの協議会設置を打ち出している。
施策は全部で38に上る。ライフスタイルの見直し、環境負荷の少ない製品を買うグリーン購入、地産地消、マイカー利用の抑制、ごみの発生抑制などだ。森林整備による二酸化炭素吸収も柱の一つにした。これらの
計画で、90年度比6%削減を目指すとしている。
達成できるか心もとなさもぬぐえない。削減は県の施策だけでなく国の施策によるところが大きいからだ。規制や予算面で国が今後思い切った施策を打ち出せるかどうかにかかる面がある。
県自身も、掲げた施策の実現に工夫を凝らし、県民の具体的行動につなげられるかが問われる。
例えば、グリーン購入はコスト面から難しいとする企業もある。企業との連携をどう強めるかが鍵だ。
導入が決まった森林づくり県民税により、間伐など森林整備がやりやすくなる。ガス吸収量を増やし、林業を活性化するために効率よく税を使いたい。
省エネへの県民の意欲を高めることも大切だ。普及啓発活動として、環境教育の推進、NPOへの支援、市町村の温暖化対策支援を施策に盛り込んでいる。
長野県は、再生可能エネルギーの利用拡大の可能性を持っている。険しい地形を利用したミニ水力発電、晴天率が高い気候条件を生かす太陽光発電などだ。まきの積極利用や菜種油のエネルギー利用などの活動をし
ている地域やNPOもある。
そんな取り組みの大切さと楽しさを知ってもらう機会を増やしたい。例えば、優れた活動の登録、表彰や啓発イベントである。
県環境審議会の専門委員会は、改定案の表現を修正し、削減は県民総意で頑張らないと達成できないとの趣旨を打ち出すことを決めた。掛け声倒れに終わらせたくない。