ID : 5159
公開日 : 2007年 10月28日
タイトル
エネルギーを地産地消 木質バイオマス始動/山 形・最上町
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新聞名
日本農業新聞
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元URL.
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/bulletin0/article.php?storyid=311
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元urltop:
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写真:
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エネルギーの地産地消を進めようと山形県最上町が、木質バイオマスエネルギーシステムの実証試験に乗りだした。面積の84%を占める山林の保全と活用策として、間伐材から作ったチップを園芸用ハウ
スの加温や福祉施設の冷暖房に利用。ハウスではアスパラガスの苗を栽培し始めた。最近の原油高で関心が高まっている。
木材や家畜排せつ物などのバイオマス資源を地域で活用する国の委託事業の一環。最上町は2005年から5年間の計画で、山口県や熊本県の阿蘇市など7つの試験地域のうちの一つに選ばれた。同町の真柄利秋農
林課課長補佐は「豊富な森林資源をエネルギーに活用できれば強みになる」と話す。
バイオマスエネルギーシステムは、ボイラーとチップを保管するサイロなどからなる。ボイラーの熱エネルギーを隣接する健康福祉施設の冷暖房や給湯、ハウス4棟合わせて約3200平方メートルに利用する。チップ
は町内の民有林から切り出した木材を加工。冬場のピーク時には1日当たり4トントラック約3台分のチップを消費する。航空写真を使った地図情報で効率的に木材を切り出したり、高性能な機械を導入したりすることで、
さらにコスト低減を図っていく。1立方メートル当たりのチップの生産コストを4割まで下げるのが目標。
ハウスは今年、最上町アスパラガス生産協議会のメンバー80人が育苗に利用した。4月にポットに種をまき、6月の定植まで使った。12月からは、農家14人が「啓翁桜」を栽培する計画で産地化に役立てる。
最終的なコスト計算はこれからだが、町では「原油に比べ安い」と話し、ハウスの利用料金を低く設定し直すなど、農家に還元していきたい考えだ。
アスパラガスを栽培する佐藤義男さん(57)は「原油が高騰しているので期待は高い。高齢化で手付かずだった山林の手入れもでき渡りに船だ」と実用化に期待を寄せる。