ID : 4962
公開日 : 2007年 10月11日
タイトル
低コスト林業へ朗報 集材用車両を開発
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新聞名
紀伊民報
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元URL.
http://www.agara.co.jp/modules/dailynews/article.php?storyid=133240
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元urltop:
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写真:
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県と田辺市内の森林組合などが、伐採した木材の搬出に使っている集材機をトラックの荷台に固定し、荷台上で操作できるよう改造した自走式集材林業車両を共同開発した。近く実用化に向けた実地研修に
入る。国内林業は、木材価格の低迷で伐採期を迎えてもなかなか切り出せない状態が続いている。新林業車両は安価なうえ搬出コストの低減に役立ち「伐採の促進につながる」と県や森林組合は期待している。
西牟婁振興局林務課とわかやま林業労働力確保支援センター(上富田町)、龍神村森林組合(田辺市)、本宮町森林組合(同)が昨秋から開発にあたっていた。森林組合と県などが合同で開発に取り組むケースは極めて
まれという。
集材機はワイヤロープを使い、架線を張って木材を集める機械。傾斜のきつい地域で一般的に利用され、地面に固定して使っている。
新開発の林業車両は、トラックの荷台に集材機を固定し、そのまま集材作業ができる。集材機は取り外すことも可能。
稼働時の重量バランスの調整や、集材機で木を引きずり出す際、木材を取り付けたワイヤがスムーズに巻き取れるよう工夫したりするのに時間がかかったという。
集材機がトラックと一体のため移動に便利なうえ集材用ワイヤの架設、撤去が場所にもよるが30分もあれば済む。木をワイヤに取り付けたり、一定の長さに切りそろえたりする仕事も含めた全作業が、3人でできるよう
になり、従来に比べ省力化できる。これにより搬出コストを20~30%下げることが可能と林務課ではみている。
また、1台で複数の仕事をこなすスイングヤーダやタワーヤーダと呼ばれる高性能林業機械が2000万円前後するのに対し、集材機や2トントラックはどこの森林組合にもあるうえ、購入しても4分の1以下と安価に仕
上げることができるという。
同課によると、10年後には標準伐期齢とされる50年生のスギ、ヒノキが県内植林地の80%を占めるという。県では林道や作業道の整備を進める一方、新開発の林業車両を普及させ、伐出に対応したいとしている。
日本の林地は傾斜がきついところが多く、安全性を高める目的で機械化が進んだ。1960年代にチェーンソーが普及、架線を使った集材などが始まった。80年代後半からは作業効率を高め、木材価格の低迷や林業労
働力の減少に対応するために高性能林業機械の普及が始まった。しかし高価なため、低価格で地域の特性にあった林業機械の開発が望まれていた。